もちもちの食感と、あんこの優しい甘さがたまらない、かしわ餅。
端午の節句が近づくと、スーパーや和菓子屋さんで見かける機会も増えますよね。
でも、かしわ餅を包んでいる『葉っぱ』
あれって食べていいのか、ちょっと迷いませんか?
今回は、かしわ餅の葉っぱにまつわる疑問や、歴史について解説します(*’▽’)!
かしわ餅の葉っぱは食べる?食べない?

さて、本題のかしわ餅の『葉っぱ』問題。
結論から言うと、基本的には食べないのがおすすめです。
食べても害はないけど、食用ではないので推奨されていません。

香りを楽しんで
かしわ餅の『葉っぱ』には、おもに3つの役割があります。

葉っぱがあると手が汚れないよね
かしわ餅に使われる葉っぱは、おもに「カシワの葉」と「サルトリイバラの葉」の2種類。
カシワの葉はちょっと硬めで、サルトリイバラの葉は柔らかめ。
一部の地域では、かしわ餅の葉っぱを食べる習慣もみられるとか。
ですが、基本的には葉っぱは食べずに、もちもちの生地とあんこを味わうのがおすすめです(*^^*)!
かしわ餅の由来と歴史

では、かしわ餅はいつから始まったのでしょうか。
意外と歴史のある食べ物のようですよ。
かしわ餅の由来
かしわ餅の由来は、平安時代の「はなびら餅」から、という説があります。
はなびら餅は、丸く平らにのばした餅にみそあんとゴボウを挟み、半月形に仕上げたもの。
平安時代の新年行事「歯固めの儀式」に由来し、明治時代には裏千家の初釜のお菓子として、用いられるようになりました。

初釜は新年初のお茶会のことです
たしかに、みそあんを挟んだ半月の形は、かしわ餅と似ていますよね。
かしわ餅は江戸時代に広まった
かしわ餅が広く食べられるようになったのは、江戸時代に入ってからです。
とくに、跡継ぎを大事に考える武家社会において、端午の節句に食べられるようになりました。
もともと徳川将軍家では、家系繁栄を願い、カシワの葉で餅を包んで食べる習慣があったんだとか。
カシワは、新芽が出るまで古い葉が落ちないため「子どもが育つまで親は死なない」「家が絶えない」という、縁起の良い木とされていました。
つまり、端午の節句にカシワの葉で包んだ『かしわ餅』を食べるのは、男児の成長と家系の繁栄を願うためだったんですね。
かしわ餅にまつわる話
かしわ餅は、単に美味しい和菓子というだけでなく、その名前や形にも意味が込められています。
柏手との関連性
あんこを包む動作が、神社で手を叩く「柏手(かしわで)」に似ていることから、かしわ餅になったとか…。
カシワの木の縁起
カシワは、縁起の良い木とされ「三つ柏」や「抱き柏」といった家紋にも利用されています。
葉っぱに隠された文化
かしわ餅の葉っぱには、単に餅を包むだけでなく、様々な知恵が込められていたとか。
昔は、今のように食器が豊富にあったわけではありません。
そこで、人々は身近にある自然のものを活用していました。
かしわ餅の葉っぱもその一つ。
丈夫で大きな葉っぱは、お皿の代わりに食べ物を盛り付けるのにちょうど良かったのです。
また昔は、食べ物を植物の葉っぱで包むことを「炊葉(かしぎば)」と呼んでいました。
「かしぎば」は、食べ物を包むだけでなく、蒸したり焼いたりする際にも使われていたんですって。
この「かしぎば」が変化して「かしわ」になったとも言われています。
端午の節句にかしわ餅を食べるのはなぜ?

端午の節句は、奈良時代に中国から伝わりました。
平安時代には、宮中行事として確立。
薬草を摘んだり、邪気を払うと考えられていた菖蒲を、髪に飾ったりしてお祝いしたそう。

菖蒲をお風呂に浮かべたりするよね
この頃から、端午の節句は「菖蒲の節句」とも呼ばれるようになりました。
江戸時代になると、菖蒲の読みが武道・武勇を重んじる「尚武(しょうぶ)」と同じであることから、武家でも行われるように。
もともとは厄除けの行事だった、端午の節句。
幟(のぼり)や兜(かぶと)を飾り、男児の勇ましい成長を願う行事として広まっていきました。

現代は『子どもの日』だね
そして徳川幕府によって、端午の節句は重要な日と定められ、同時にかしわ餅も、参勤交代を通じて全国に広まったんですって。
この頃から、庶民にも砂糖が手に入りやすくなり、かしわ餅も一般家庭で作られるようになりました。
かしわ餅が端午の節句に定着したのは、カシワの葉が兜の形に似ていること、そして子孫繁栄を願う意味が込められていたからです。

跡継ぎ必須の時代だしね
こうしてかしわ餅は、端午の節句に食べられるようになったんですね。
かしわ餅の種類と特徴
昔は、かしわ餅は家庭で作るのが一般的でした。
地域によって、使う葉っぱやあんこの種類が異なり、それぞれの家庭の味が受け継がれてきたんですって。
つぶあんやこしあんが多い、かしわ餅。
最近では、みそあんやずんだあん、チョコレートあんなどのかしわ餅も登場しています。

いもあんが好き!
地域によっても、かしわ餅の特徴は様々。
たとえば関西地方では、サルトリイバラの葉で包んだかしわ餅が主流です。
また沖縄では、小麦粉生地に油みそを塗って巻いたポーポーという、かしわ餅の役割に似たお菓子を食べるとか。
かしわ餅を手作りして、自分好みにアレンジしてみるのもおすすめですよ(>_<)!
まとめ
かしわ餅の葉っぱは、基本的には食べないけれど、食べても害はありません。
ですが、香りを楽しむ程度にとどめた方が良さそうですね(*’▽’)
かしわ餅は、子どもの成長を祝う、縁起の良い食べ物。
そして、家族みんなの健康や幸せを願う、優しい気持ちが込められた和菓子なのです。
今年の端午の節句は、家族みんなでかしわ餅を囲んで、楽しいひとときを過ごしてくださいね。