NHKの連続テレビ小説「あんぱん」で、あんパンを作るヤムおじさん。
観ていると美味しそうで、パン屋さんに走りたくなっちゃいますよね!
でも、このドラマの時代に、あんパンって本当にあったのでしょうか?
実は、あんパンは明治初期に誕生し、意外な歴史を辿ってきた日本の国民的パンなのです。
今回は、朝ドラと合わせて、あんパン誕生の秘密から、正義の味方・アンパンマンへと繋がるまでをご紹介します(*’▽’)!
朝ドラ「あんぱん」ヤムおじさんが作るあんパンはいつ誕生した?
NHKの連続テレビ小説「あんぱん」に登場する、おもしろパン職人・ヤムおじさん。

ヤムおんちゃんとも
呼ばれていたね!
ヤムおじさんこと、屋村草吉(やむらそうきち)を、俳優の阿部サダヲさんが演じています。
🏃♀️#あんぱんのなかま🖌
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) March 10, 2025
屋村草吉 🖊 #阿部サダヲ
風来坊のパン職人。
お金にうるさく口は悪いが、パン作りの腕はたしかである。
のぶと嵩の人生に大きな影響を与えていく。
草吉を演じる阿部さんがあんぱんを作るシーンにも注目です!#朝ドラあんぱん
📅3月31日(月)スタート🏃 pic.twitter.com/25X27ZrcO2
お金にうるさく口は悪いけど、パン作りの腕は一流。
ふらりと高知にやってきた、謎の男という設定です。
主人公である、朝田のぶと柳井嵩の人生に、大きな影響を与える人物として登場しました。

モデルは多分あの人…
ヤムおじさんが、ふっくらと焼き上げるあんパンは、観ている人の食欲をそそりますよね。
ところで、あんパンって日本でいつどのように生まれ、人々に愛されていたのでしょうか?
実は、あんパンは明治7年(1874年)に誕生しました。
朝ドラ「あんぱん」の時代設定は、昭和2年からとなっています。
ですので、物語の舞台となる時代には、すでにあんパンは日本の人々に親しまれていたというわけですね。
あんパンは日本人のために作られた

明治維新後、日本は西洋文化を積極的に取り入れ、食生活にも大きな変化が訪れました。
パンもそのひとつ。
しかし当時のパンは、日本人の味覚や食習慣には合わなかったようです。
お米の国にパンが来た!明治の食卓革命の始まり
鎖国を終え、海外との交流を始めた日本は、西洋の進んだ技術や文化とともに、新しい食文化にも強い興味を持ちました。
国が産業を育てようとする政策の中で、パンの作り方が外国から伝えられ、各地にパン屋さんが誕生。
しかし、最初の頃に作られたパンは、普段お米を食べている日本人には、あまり美味しいと感じられませんでした。
- 硬くてパサパサした食感
- 独特の酸味や風味
- 米食中心の日本人には食べ慣れない
こうした状況の中「日本人のためのパンを作りたい」という、強い思いを持った人物が現れます。
それが、東京に店を構えた木村屋總本店の創業者、木村安兵衛と、その次男である英三郎でした。
木村安兵衛が挑戦したあんパン
木村安兵衛は、西洋パンの製法にとらわれず、日本人の味覚に合う新しいパンの開発に情熱を注ぎました。
米を主食としてきた日本人が
親しみやすいパンとは何か?
何度も試作を重ねた安兵衛。
単に美味しいパンを作るだけでなく、日本の食文化に西洋のパンを取り込むという、革新的なアイデアを生み出します。
日本の発酵技術をあんパンに
イーストが、まだ一般的でなかった頃のパンは、ホップを酵母として作られていました。
しかし、その食感は硬く、日本人の口には合わなかったとか。
そこで木村安兵衛の次男・英三郎は、日本人の味覚に合うパンを研究するうちに、酒造りの技術から『酒種酵母』の存在に気付きます。
明治7年(1874年)、この酒種酵母を使った生地に、あんこを包んで焼いた「あんパン」が誕生しました。
あまりの美味しさに、あっという間に評判となったんですって。

酒まんじゅうからヒントを得たとか
米と麹を発酵させた酒種酵母を使ったことで、パンは他にはない香りを持ち、ふんわりとした食感に仕上がったのです。
- ほのかな甘い酒種の香り
- きめ細かく、しっとりとした食感
- 日本人の味覚に合いやすい
木村屋総本店では、創業から百年以上経った今も、開発当時から変わらない酒種と製法を、大切に守り続けているそうですよ(*’▽’)
あんパンが特別なパンである理由
木村安兵衛による、日本人のためのパン作りへの情熱。
そして、酒種酵母との運命的な出会いを経て、日本独自のパン「あんパン」は誕生しました。
そんなあんぱんが、特別なパンとなったのには理由があります。
あんパンは天皇への献上で国民的に
あんパンの歴史を語る上で欠かせない出来事が、明治天皇への献上です。
明治8年(1875年)、明治天皇が花見をするために、水戸藩下屋敷(現在の向島)へおでかけになった時のことでした。
その花見の席に出す、お茶菓子を探していたのは、侍従の山岡鉄舟。
安兵衛は彼から、人々の間で評判のあんパンを、献上してみてはどうかと勧められたそうです。
そして4月4日。
奈良の吉野山から取り寄せた八重桜の塩漬けを埋め込み、季節感豊かに焼き上げたあんパンが、明治天皇に献上されました。

桜あんぱん
このあんパンは、皇后陛下がとても気に入り、両陛下から「今後も納めるように」というお言葉をいただいたそうです。
この献上によって、あんパンは日本の食文化を代表する存在として、認められたんですね。

「あんパン」が明治初期の
流行語にもなったとか
こうしてあんパンは、全国にその名が広まり、一気に多くの人々の間でパンが親しまれるようになりました。

4月4日はあんパンの日
今日は #あんぱんの日 🌸
— 木村屋總本店 (@kimuraya_1869) April 4, 2025
木村屋が明治天皇に桜あんぱんを献上した日です。
明治7年、酒饅頭をヒントに洋のパンで和の餡を包み、新しい美味しさが誕生しました。
日本人の嗜好に合わせたパン作りを続け、酒種あんぱんは150年以上受け継がれています。 pic.twitter.com/D47DHYu9z5
武士からパン屋となった木村安兵衛
あんパンで一番大切な『あんこ』は、日本人にとって特別な食べ物ですよね。
昔から和菓子に使われ、甘さは控えめなのに、素材の風味や職人の技術が詰まっています。
あんこを食べると、日本の昔からの食文化や、武士の時代から伝わる心のようなものも感じませんか。
実は「あんパン」を生み出した木村安兵衛も、もとは常陸国河内郡田宮村(現在の茨城県牛久市)出身の武士でした。
しかし、江戸幕府が倒れ、明治維新によって職を失ってしまったとか。
そこで安兵衛は、江戸に出て新しい仕事を探す中で、パン屋を開業するという道を選んだのです。

レベル1からの異業種転職!
そして、西洋から来たパンと、日本の伝統的な食材のあんこを組み合わせた、あんパンを誕生させました。
まさにあんパンは、日本の近代化の中で生まれた、食のシンボル。
そして、このあんパンの誕生が、日本のパン食文化の始まりであり、後の国民的ヒーロー「アンパンマン」へと繋がる、大きな第一歩だったのです。
あんパンに込められた想いアンパンマン
朝ドラ「あんぱん」は、昭和初期という激動の時代が舞台です。

大きな戦争に入る前だね…
人生の苦難を乗り越え、正義のヒーロー「アンパンマン」を誕生させた、やなせたかしと妻・小松暢の物語が描かれています。
朝ドラ「あんぱん」ヤムおじさんは実在した?
朝ドラ「あんぱん」でひときわ目を引く、おもしろパン職人・ヤムおじさん。
🏃♀️#あんぱんオフショット🖌
— 朝ドラ「あんぱん」公式 (@asadora_nhk) April 13, 2025
「朝田パン」が開店して8年経ちました👏
御免与商店街で順調に営業中です🍞
焼きたてのあんぱんと一緒に✨#今田美桜 #江口のりこ #阿部サダヲ#朝ドラあんぱん pic.twitter.com/hYx9lhgDCj
物語の舞台は、日本の食文化も大きく変わった時代です。
パン職人のヤムおじさんは、実在した人物がモデルなのでしょうか。
残念ながら、やなせたかしの史実を調べても、ヤムおじさんの存在は確認できませんでした。

パン職人はドラマオリジナルの役?
ですが、朝ドラ「あんぱん」には、柳井崇や朝田のぶのように、実在の人物がモデルとなっているキャラクターもいるわけですよね。
実は「アンパンマン」のキャラクターを思わせる役名も、登場しているのです(*’▽’)

羽多子(はたこ)さんとか

バタコさん!?
「アンパンマン」に登場する、ジャムおじさん…。
✨「こんしゅうのなかま」を紹介するよ✨
— それいけ!アンパンマン【公式】 (@anime_anpanman) October 2, 2023
今日のなかまは…#ジャムおじさん 🌈
▼動きのあるイラストで紹介💨
チェックしてみてね❣https://t.co/7lAOsVIrEg#アンパンマン公式 pic.twitter.com/kXoeyxgXgq
名前もそうですが、ヤムおじさんの髪型は、ジャムおじさんにそっくりじゃないですか!
考えてみれば、ヤムおじさんもジャムおじさんも、傷ついた子どもに優しいという共通点があります。
ヤムおじさんは「アンパンマン」のジャムおじさんをイメージして作られた、架空の人物かもしれませんね。
ただ朝ドラ「あんぱん」は、まだ始まったばかり。

今後ヤムおじさんの過去が
描かれるかも?
ヤムおじさんがパン職人として修業したのは、木村安兵衛のパン屋だった…なんていう展開もあるかもしれませんね(*’▽’)
あんパンがヒーローの顔に? やなせたかしの正義とは
明治時代に生まれたあんパンは、時を超え、正義の味方「アンパンマン」のモチーフとなります。
なぜ、数ある食べ物の中で、やなせたかしは「あんパン」をヒーローの顔に選んだのでしょうか。
その理由の一つとして考えられるのは、あんパンが分け与えられる食べ物であること。

ぼくの顔をお食べ
アンパンマンは、お腹を空かした人や困っている人に、自分の顔である「あんパン」を分け与えます。
その行動は、自分を犠牲にしてでも人を助ける、まさにやなせたかしが思い描いた『正義』そのものなのかもしれません。
あんパンのふんわりとした性質も、優しさと強さにあふれたヒーローにふさわしいですよね。
飢餓の記憶から正義をアンパンマンに込めた
やなせたかし自身、戦中・戦後の食糧難の時代を経験し、食べ物に対する強い思い入れがあったそうです。
自分もまわりも、満足に食べられない日々。
その経験から「自分の顔を食べさせて人を助ける」という、アンパンマンの設定に繋がったのですね。
アンパンマンは、ただの強いヒーローではありません。
- 食べ物を分け合うこと
- 生きるために必要なものを分け合うこと
誰にとっても大切な正義を、子どもたちに優しく教えているのです。
明治時代に生まれた、特別なあんパン。
長い時間を超えて、みんなの心を結びつける正義のヒーローの顔となりました。
まとめ
朝ドラ「あんぱん」に登場するヤムおじさんは、現在のところ史実上の人物としては確認されていません。
しかし、彼が作るあんパンは、明治7年(1874年)に木村安兵衛によって生み出された、歴史あるパンです。
多くの人に愛され続けたあんパンは、やがてやなせたかしが生んだ正義の味方「アンパンマン」のモチーフに。
分け与えることで人を助けるという心は、あんパンが持つ優しいイメージと重なり、世代を超えて勇気と生きる喜びを届け続けています。
ドラマの今後の展開も、気になりますね(*^^*)!